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General Summary (Japanese)

Charts and Tables

英国の高等教育機関における日本研究・日本語教育の現状と課題
国際交流基金 2006/2007年 英国日本研究機関調査によせて
中村尚史(東京大学社会科学研究所)
清水洋(London School of Economics and Political Science)
はじめに
 2003年6月、Durham大学東アジア研究院(DEAS)の閉鎖が発表された。DEASはイギリスにおける日本研究の一つの拠点であっただけに、そのニュースは日本でも国際日本研究(International Japan Studies)の曲がり角として、大きく取り上げられた(John Westerly ・小菅信子(Nobuko Kosuge)「Durhamの’危機’: 切り捨てられる日本研究」『UP』374号、2003年12月、18-24頁)。  
  1980年代末から1990年代初頭にかけて、好調な日本経済を背景に、世界各地で急速に日本への関心が膨らんだ。イギリスにおいても2001年段階で日本研究・日本語教育を提供していた49大学のうち、実に20校がバブル経済の最盛期である1989-91年に設置もしくは拡充されている(Japan Foundation and Daiwa Anglo-Japanese Foundation ed. 2002. ‘Japanese Degree Courses 2001-2002’ The Daiwa Anglo-Japanese Foundation)。その後、日本経済は「平成不況」と呼ばれる長期的な景気停滞で苦しみ続けた。ところが、バブル経済の残像がのこっていた1990年代には、未だに海外からの日本経済への関心が持続しており、イギリスの日本研究も急速に萎むことはなかった。事実、1992-98年のイギリスでは、新たに16校が日本研究・日本語教育の提供を開始、もしくは拡充している。ところが1990年代末から2000年代初頭にかけて、徐々に日本語教育の提供を停止する大学が出始め、Stirling大学やEssex大学では日本研究の学位取得コースが相次いで閉鎖された。DEAS閉鎖のニュースは、こうした一連の動きの中で、イギリスにおける日本研究衰退の象徴とみなされた。日本経済と同様に、国際日本研究でも「バブルの崩壊」が起きたと受け止められたのである。こうした日本研究停滞の背景には、イギリスの大学改革の過程で、少人数教育が必要で費用対効果が悪い地域研究が全般的に縮小したという問題も存在した。こうした費用対効果の問題点を、日本からの様々な資金援助が支えていただけに、日本経済の停滞と資金援助の縮小は、日本研究の停滞に直結したと考えられる。  
 現在、日本経済は長いトンネルをぬけつつある。日本のポップ・カルチャーに対する世界の関心もまた、以前に増して高まっている。こうした外部環境の変化は、イギリスにおける日本研究・日本語教育の状況に、どのような影響を及ぼしたのか、それとも及ぼさなかったのか。2006-07年時点のイギリスにおける日本研究の現状を把握することは、イギリスという一国の枠をこえて、国際日本研究全体の動向を考える上でも、重要でかつ興味深い課題である。


 この調査は、現在のイギリスの大学における日本研究および日本語教育の現状を把握するために、2006-07年に国際交流基金ロンドン事務所によって実施された。同様の調査は、これまでに1996/97年、2000/01年の二度にわたって行われており、今回が三回目である。そのため本調査では、基本的なアンケート項目を前回までの調査に可能な限りあわせて、前回調査と比較可能なように設計した。ただしdegree levelでの日本語教育の現状調査が主たる目的であった従来の調査に比べて、今回の調査では日本研究の現状把握により重心を移している。ところがこうした調査内容にかかわる問題に加えて、.▲鵐院璽伐鹽者(各大学の日本研究担当窓口)の変化により、同じ質問項目でも前回の調査とは異なる基準で回答されている場合がある、日本研究の盛んな大学を含む未回答の大学が複数あり、アンケート回収率が高くない(59%)という技術的な問題も生じた。とくに△療世砲弔い討蓮∋務局において可能な限り督促に努めたにもかかわらず、回答いただけなかったという点で極めて遺憾である。現在における教育・研究の現状を正確に把握することは、今後の日本研究の促進にとって重要な要素となる。関係各位による情報の開示と、正確なデータ提供を切に希望したい。
 以上の理由から、折角、調査票を揃えたにもかかわらず、今回の調査結果を前回までの調査結果と単純には接合できないという深刻な問題が生じた。そのため本稿では、前回までの調査結果との単純な比較を避け、今回の調査で回収できた調査票(調査票送付54件、有効回答32件)と、そこで回答を求めた2000年以降のデータをもとにサーベイを行わざるを得なかった。未回答の大学が複数あること、また2000/01年から2006/07年の間に閉鎖された大学のデータも部分的に収集できていないことから、本稿を参照される際には、survival bias がかかっていることを予めご了解いただきたい。また今回の調査では、学生の国籍や日本研究コース以外の日本語履修学生の専攻分野などに関する調査を行っていないため、日本語履修学生数増減の要因を詳細に分析することが出来ない。こうした問題点を考慮したとしても、今回の調査によって、最近のイギリスにおける日本研究・日本語教育の全般的な動向が明らかになったことの意義は大きい。その意味で、本調査の目的は十分に達成されたと考えている。

調査の対象
 本調査は、前回(2001/2002年)の調査から今回まで継続して日本研究・日本語教育を行なっている全大学44校、前回以降現在までの間にコースを閉鎖した5校※1、日本研究に重点を置いているが日本語教育は行なっていない2校、そして前回調査以降新たに日本研究・日本語教育関連のコースを開始した3校の、合計54校を対象とした。調査は、電子版の調査票を送付し、各大学に入力してもらう方式をとった。 本報告は、これら54校のうち、調査に応じた32校から得た回答をもとに作成されたものである。


 調査に応じなかった大学のうち5校は、調査の内容が当てはまらないゆえ回答しないとの連絡があった。調査内容が当てはまらない理由は、もう日本研究を教えていないか、殆ど教えていないから、という説明であった。その他の無回答の大学は、学部が小規模であり、主にパートタイムのスタッフを抱えているのみであるか、すでに日本研究の教育を完全に打ち切っている。ただし、日本研究が盛んであるにもかかわらず回答がなかった大学もあった(Edinburgh)。
 ※1 Durham、Essex、Stirling、Ulster、Buckinghamの各大学。このうちUlsterとBuckinghamについては、前回調査の時点ですでに閉鎖が決定していた。閉鎖してから時間がたっていることを考慮して多少内容の異なる調査票を送付したところ、3校から回答があった。ただしその回答内容は本報告には反映されていない。

学生数の傾向
 英国では日本研究に対する関心が低下しているという指摘がされがちであるが、本調査によれば、2000年から2006年の間に、英国のほとんどの地域において、日本研究・日本語を学ぶ学生数は維持されているかまたは増加していることがわかる。日本研究コース(単一専攻課程(single honours)、専攻(major)、副専攻(minor)、重複学位(joint)、共同学位(dual))に在籍する学生数は増加しており(132名→171名)、同コースに修士課程で在籍する者も2000年の82名から2006年の118名へ増加している。
 また、2001年以降、必修科目か選択科目かにかかわらず日本語もしくは日本研究コースを履修した総学生数は、2001年から2006年にかけて確実に増加しており(表1)、その増加率は4割程度であった。

学部課程及び大学院課程
 学部及び大学院課程における学生数は、多くの大学において増加傾向にある。
日本研究・日本語教育関係の学部課程在籍者数は、2000年の132名から2004年の116名へと、わずかに減少しているが(表2)、2005年にはこの数字が上昇に転じ、2006年には171名に達した。特にOxford Brookes大学、Newcastle大学の2校については顕著な上昇が見られた。若干の変動はあったものの、概ね安定した生徒数を維持していたのは10校(Leeds、Birmingham、Oxford、Reading、Nottingham、Liverpool John Moores、Central Lancashire、Manchester、Cambridge、SOASの各大学)。ただしCardiff大学では減少が見られた。
 また、単一専攻課程(single honours)を卒業した学生数は、2000年の32名から2006年の62名へほぼ倍増している(Oxford、SOAS、Leeds、Cambridge、Sheffieldの各大学)(表3)。とりわけSOAS及びLeeds大学では明らかな増加傾向が見られ、その他の大学の人数は安定している。
 大学院生の数は、2001年の78名から2006年の118名へと増加している(表4)。同じ時期の学部課程が約30%増であったのに対し、大学院課程は51%増と顕著である。SOAS、Leeds、Birkbeckの3校は増加し、Oxford、Bath、Sheffieldの3校ではその数は安定していた(表5)。また、同じ時期、 SheffieldとOxfordの2校では博士課程の学生が増加している(表6)。
 総じて、SOAS、Sheffield、Oxfordは、それぞれ安定した増加率を保っており、学生数という観点からは英国における日本研究の三大機関といえる。

コースの種類
 多くの大学において、日本の社会文化面若しくはビジネス・経済面に焦点を当てたコースを提供するか、他分野のコースと同時選択できるコースを提供していることが明らかになった。28の大学の学部課程において、日本研究との重複(joint)・共同(dual)・組み合わせ(combined)の学位取得コースを提供しており、その中でも特にLeeds大学は日本研究・日本語と、他の言語、国際関係、哲学、経営、地域研究などを組み合わせた多様なコースが、またOxford Brookes大学では、文学士号だけでなく理学士号も含め約30種の様々な組み合わせのコースの選択が可能である。また、修士課程を提供する11大学のうち、Leeds及びSheffield大学が、日本研究、日本ビジネス、アジア・太平洋研究などの最も多様なコースを提供している。
 なお、Essex、Durham及びStirling大学では、前回調査実施以降、日本研究コースを閉鎖した。

日本の教育機関との提携
 前回と今回の調査の両方に回答した大学11校(Abertay Dundee、Birmingham、Cardiff、 Leeds、Liverpool John Moores、Manchester、Newcastle、Oxford、Oxford Brookes、SOAS、 Sheffieldの各大学)の傾向を見ると、前回の調査以来、日本の教育機関との提携を強化している大学が多い。上記11校のうち8校は日本における提携校を増やしている。8校の推移は次のとおり。Cardiff(6校→8校)、Leeds(8→11)、Liverpool John Moores(5→8)、Manchester(6→7)、Newcastle(2→11)、Oxford Brookes(4→7)、SOAS(11→13)、Sheffield(13→21))。
 他方、提携校数が減少した大学は2校あり(Birmingham(7→5)、Oxford(6→1))、また1校は現状を維持していた(Abertay Dundee(1→1))。
 (大学名の後のカッコ内は、2001/2002年調査時の数字→今回調査の数字)
 日本の教育機関との提携及び留学に関するデータは表7にまとめたので参照願いたい。

留学制度
 学部生の日本留学制度を設けている大学は、32校中少なくとも16校あった(表7)。留学期間を12ヶ月としている大学が最も多く10校あるが、6ヶ月未満の短期留学も2校、最低8ヶ月と規定している大学も1校ある。また留学する学年は3年次が最も多く7校であるが、Oxfordのように1年次の第3学期の留学を必須としている大学もある(Oxfordはまた、3年次と4年次の間に、1年間の留学もしくは企業研修を行うことも可能)。Kent大学の政治・国際関係コースの学生は、1年間の日本留学中も英語だけで過ごすことができる。
 留学制度を設けている大学はすべて日本の大学との受入協定を結んでいる。ただし協定校の数はまちまちであり、Oxfordのように1校のみ(1年次の必須留学時)の大学もあれば、Sheffieldのように21校ある大学もある。なお複数の協定校をもつ大学の場合、その受入機関は北海道から九州まで日本全国に分布している。こうした地理的な広がりは、日本の社会・文化を幅広く理解するためには有効であると思われる。

教員・職員
 2006/2007年時点における日本研究・日本語教育関係のスタッフ数 (表8)は、32大学の合計で196名、このうち常勤が152名、非常勤が44名となっている。常勤スタッフの内訳は、日本研究47名、日本語教育41名、日本研究以外のセクションに在職している日本研究者が64名となっている。このことから、日本を研究している研究者が、日本研究の名のつくセクションだけでなく、他のセクションにも分布していることがわかる。また、大学ごとの合計スタッフ数の比較を行なうと、SOASの23名が突出している。その次に多いのが、Cambridge、Oxford Brookes、Sheffield、Oxford、Leedsの各大学で、それぞれ11〜15名のスタッフを擁している。更にその次がCardiff、Newcastle、Liverpool John Moores、Birkbeck、Manchesterの各大学で、それぞれ7〜9名である。
 日本研究セクションのスタッフ数だけを見ると、SheffieldとOxfordの8名とCambridgeの7名が最も多く、これら3大学が日本研究に力を注いでいることがわかる。


 また日本語教育のスタッフ数を大学ごとに比較すると、Sheffieldが5名、Oxfordが4名、Cardiff、Oxford Brookes、SOAS、Birmingham、Leeds、Manchesterがそれぞれ3名ずつの常勤スタッフを擁し、日本語教育に力を入れていることがわかる。これに対して、常勤 1名と非常勤、もしくは非常勤のみで日本語教育を担当している大学も12校ある。このなかには、最近、急速に日本語単位履修者数を伸ばしているImperial Collegeなども含まれており、日本語教育における需要と供給のアンバランスが懸念される。
 スタッフ数に基づく現在のイギリスにおける日本研究機関は以上のような様相であるが、未回答の大学もあり、また調査対象に含めていない大学に日本研究者が在籍している場合もあるため、今回集計した数字が即、イギリスにおける日本研究者の総数ではないことも指摘しておきたい。
 教員・職員に関するデータは表8にまとめたので参照願いたい。

図書館
 蔵書数と図書予算については、無効回答の大学も多く、統計的な分析は難しい (表8)。しかし蔵書数では、日本研究の歴史が最も長いSOAS (1946年設置、日本語文献11万冊、日本関係英語文献3万5000冊)が突出しており、Cambridge(1947年設置、日本語文献10万冊、日本関係英語文献1万冊)、Oxford (1963年設置、日本語文献7万5000冊、日本関係英語文献1万6200冊)、Sheffield (1965年設置、日本語文献2万冊、日本関係英語文献8000冊)がそれに次ぐことは間違いない。この4大学が日本語文献の主要所蔵機関である。これに対して年間の図書予算については、Oxfordの9万ポンドが最も多く、Cambridgeの4万6000ポンド、SOASの3万5000ポンドがそれに続いている。ただし最近、SheffieldとLeedsが後述する日本研究のCentre of Excellence を獲得したことから、今後は両大学の日本関係図書予算の増加も見込まれている。
 一方、日本語教育のみを提供している大学の多くは、100〜600ポンドという限られた予算での図書整備を余儀なくされている。そのため、これらの大学では蔵書数も限られており、日本語教材を中心に1000冊以下となっている。ただし年間300ポンドの予算で200冊の蔵書しか持たないImperial Collegeのように、図書予算や蔵書数が少ない大学でも日本語教育の需要が大きい場合もある。前述した日本語教育における需給のアンバランスは深刻であるといえよう。

今後の展望、問題点
 2006/2007年時点の日本研究分野における大きな話題の一つは、SheffieldとLeedsの両大学が共同で日本研究・中国研究のCentre of Excellence を獲得し、ホワイト・ローズ東アジアセンター(The White Rose East Asia Centre)を立ち上げたことである。政府系の研究支援機関Higher Education Funding Council for England、Economic and Social Research Council及びArts and Humanities Research Council が共同出資した400万ポンドにのぼる資金によって、同センター内にThe National Institute of Japanese Studies (NIJS)とThe National Institute of Chinese Studies (NICS)が設置された。NIJSは今後5年間、およそ200万ポンドの政府資金を用いて、英国における日本研究の国際競争力を強化することを目指す。NIJSの設置は、英国政府が日本研究に対して本格的に政府資金を投入しはじめた点で画期的な出来事である。

 またManchester大学が、地元の複数の大学が共同で運営していたJapan Centre North West を吸収して、School of Languages, Linguistics and Culturesにおける日本研究の拡充を開始したことも話題となった。学部・大学院両方の課程で2007年度から新入生を受け入れており、2007年の約20名から、2010年の80名超へ一気に拡大する計画である。

 2005/2006年度のBristol大学におけるCentre for East Asian Studiesの設置も、日本研究の拡張という点で注目すべき出来事であった。同センターでは現在も人的、物的資源の調達を続けている。


 一方、日本研究・日本語教育に関して、現時点で何らかの問題をかかえていると回答した大学は32校中13校あり、その内容を分類すると以下のようになる(複数回答、カッコ内は回答数)。
・ 資金不足(図書館運営費や奨学金の不足) (6)
・ 研究資料、教材、スタッフ、施設の不足 (5)
・ 学生数(需要の減少、学生数の低下、院生数が少ない)(5)
・ 留学にまつわる問題(費用が高い、提携校の不足) (2)
・ 語学教育に十分な時間が割けない (2)
・ 2年次以降に落第する学生が増える (1)
・ 日本語教授法 (1)
・ 大学の制度上、日本研究を主専攻とする学生でなければ日本研究関連科目の履修ができない(1)


 これらの回答からは、日本研究・日本語教育に関するいくつかの興味深い現象が観察できる。まず最も回答数が多かった人的・物的資源不足と資金不足の問題は、日本語履修学生数の急増に象徴される近年の需要増加に、現有の教育・研究体制が対応できていないことを示している。留学に関する諸問題もまた、日本に関心を持つ学生数の増加にともなって生じている問題である。ところがその一方で、日本語履修学生数の減少や日本研究の需要減少を問題点として捉えている大学もまた存在する。こうした二極化の進行がいかなる要因によっているのか、今後、詳細な分析を行う必要がある。更に、日本に関心を持ち、大学で日本語を学び始めた学生が、入門レベルで脱落し、中上級レベルに進まないという問題点を指摘する大学もあった。

まとめ
 今回の調査で把握できた範囲で、2000年から2006年にかけての日本研究・日本語教育の動向を整理すると以下の通りである。日本経済の長期不況の影響もあり、イギリスにおける日本研究は1990年代末から2000年代初頭にかけて、急速にその規模を縮小する。その過程でEssex、Stirling、Durhamといった主要な日本研究機関が閉鎖され、「ダーラムの危機」と呼ばれる状況が訪れた。しかしこうした危機的状況は、遅くとも2004年までに底を打ち、2005年頃には学部・大学院ともに日本研究・日本語履修学生数の明らかな上昇がはじまった。更に2005/2006年に入ると、Bristol大学East Asian Studiesが設置され、2006/2007年には、NIJSの新規設置やManchester大学の日本研究コースの拡充が始まっている。しかしその一方で、日本語履修学生数の減少が続いている状況を危惧する大学も存在する。また日本語教育の場合、人的・物的資源を豊富に有する大学の学生数が停滞する一方で、学生数が急増している大学では様々な資源の不足が生じているという需要と供給のアンバランスも表面化している。その背景には、1990年代まで経済中心であった日本への関心が、2000年代に入り漫画・アニメやコンピューター・ゲームに代表されるポップカルチャーの領域に急速に拡張しているという状況の変化があると思われる。


 いずれにしても日本研究におけるスクラップ・アンド・ビルドの進行と日本語教育における需給アンバランスの発生が、2006/2007年時点における当該分野の特徴といえる。日本的経営への関心からポップカルチャーへの関心へという需要の変化に、サービスの供給主体である大学・研究機関がどう対応できるのか。また近年における日本への関心の高まりを、日本研究・日本語教育の発展にいかにつなげていけるのか。今後の動向に注目したい。